＊コラム：植民地時代のアメリカ社会とコーヒーハウスのソースを表示

北アメリカに最初にコーヒーを伝えたのは、1607年にバージニア植民地（アメリカ合衆国建国時の13州になったイギリスの13植民地の一つで現在のバージニア州）を創設したイギリスの探検家ジョン・スミス John Smith であることが定説である。ニューヨークには、ニューアムステルダムと呼ばれていたオランダ領時代にコーヒーが輸入されていた可能性があるが、イギリス領となった1664年以降に、イギリス人が伝えたという説が有力である。ニューイングランド（ニューハンプシャー、マサチューセッツ、ロードアイランド、コネチカットの四つの植民地）では1670年の公式記録にコーヒーの記載があり、ペンシルベニア、デラウェア両植民地には、イギリス人貴族のウイリアム・ペン William Pennが1680年代にクエーカー教徒の信教の自由を保障する地を建設するとともにコーヒーを伝えたとされる。

　

植民地となる以前から、各街にはイン inn やタヴァーン tavern があり（日本語ではそれぞれ宿屋・居酒屋と訳される場合が多いが、意味合いは多少異なる。）、コーヒー伝来後もここで飲み物の一つとしてコーヒーが提供されていた。17世紀後半にイギリスの植民地化が進むと同時に、次々とイギリスやヨーロッパをまねたコーヒーハウスが登場した。ただし、イギリスと同様にコーヒーハウス、イン、タヴァーンの区分はあいまいであった。コーヒーハウスでは議会や住民集会が行われ、街の人々の集会所として重要な役割を果たした。さらに、これはアメリカのコーヒーハウスだけの特徴であるが、裁判も実施されていた。後に商業地域のコーヒーハウスでは商取引が盛んに行われた。交易や株などの健全な取引だけではなく、奴隷や女性・子供などの暗い取引や賭博も横行していた。また軍人が多く集まるコーヒーハウスや政治色の強いコーヒーハウスも現れ、店の中はロンドンのコーヒーハウスと同じ様子であった。ただし、植民地時代のアメリカには著名な文筆家や芸術家がおらず、文学カフェや芸術カフェは生まれなかった。


当初はイギリス人が多くイギリス色が強いコーヒーハウスが多かったが、市民の中にイギリス排除の風潮が強くなると、コーヒーハウスもその影響を受けて店名を変更する店もあり、さらにアメリカ合衆国独立の気運が高まると、独立運動の集会や独立戦争の準備もコーヒーハウスのなかで行われていた。　　　　　　　　　　　　　　（小村嘉人）


'''ボストン（マサチュセッツ植民地）の初期のコーヒーハウス'''

　[コラム]　ボストンの初期のコーヒーハウス　を参照


'''ニューヨーク（ニューヨーク植民地）の初期のコーヒーハウス'''

　[コラム]　ニューヨークの初期のコーヒーハウス　を参照


'''フィラデルフィア（ペンシルべニア植民地）の初期のコーヒーハウス'''

[コラム]　フィラデルフィアの初期のコーヒーハウス　を参照



参照文献：　


・William H Ukers　『''ALL ABOUT COFFEE Second Edition''』 1935年

・Wikipedia　アメリカの１３植民地　（英語版・日本語版）

・Wikipedia　History of New England  （英語版）

・Wikipedia　New England Colonies　（英語版）

・Wikipedia　ペンシルベニア植民地　（英語版・日本語版）

・Wikipedia　ニューヨーク植民地　（英語版・日本語版）