東方諸国への旅Journey into the eastern countries
もし、何か食べたり飲んだりしようと思ったなら、ふつうに近くに露店があり、地面やカーペットに座って、ほかの客と共に飲める。わけてもすばらしい飲み物があり、カウベChaube(Coffee)と呼ばれている。それはインクのように黒く、病、特に胃に効く。彼らはこの飲み物を朝早くから野外で、誰の目を憚ることもなく、磁器のカップで飲んでいる。できる限り熱々で、唇に乗せるようにして一口飲み、皆座りこんでカップを回す。
この湯はブンルBunruと呼ばれる果実からつくる。その果実は大きさ、形、色はベイベリーbayberry(月桂樹の実、シロヤマモモ)によく似ていて、2つの硬い薄皮に覆われている。この果実はインドから運ばれる、と聞く。果実は2つの部分に分かれ、中にそれぞれ黄色味がかった種子が入っている。その特質、外見と名称はアヴィセンナのいうブンカBuncha、ラーシス・アド・アルマンスRasis ad Almans(ラーゼス)とまさに一致する。