『エジプトの植物』
エジプトの植物De Plantis Agyiptis liber
1592年刊(ヴェネツィア)。原文はラテン語。プロスペロ・アルピーニがエジプトでの植物調査をもとに帰国後に執筆。多数のエジプトの植物とともに、コーヒーに関する記述とコーヒーの木のデッサンを掲載。コーヒーに言及した文献としては、レオンハルト・ラウヴォルフに次ぐヨーロッパにおける2番目のものとされる。 この著作は、バナナを初め数多くのヨーロッパで知られていなかった植物を紹介している。以下はコーヒーに関する記述の部分(『オール・アバウト・コーヒー』の引用英文)の翻訳。 『エジプトの植物』よりの部分訳 「私はこの植物をカイロで目にした。エジプトでよく見かけるこの木には実がなり、それをボンbonまたはバンbanという。アラビアやエジプトではその実を使って一種の煎じ液を作り、ワインの代わりに飲む。この飲み物はどこの飲食店でも売っていて、カオヴァcaovaと呼ばれる。材料となる実は「幸福なアラビアArabia Felix」(訳註:イエメン地域)で産し、木は常緑樹で、外見はニシキギに似ているが、葉はより厚く固くて、緑色も濃い」(『オール・アバウト・コーヒーAll About Coffee』に引用された英文の翻訳)。 (山内秀文)