モカ
モカ Mohka
イエメンの紅海南端部に位置するかつてのコーヒー積出港。東側の山岳地帯のコーヒー栽培を背景に15世紀半ばから盛え、15〜18世紀初頭までコーヒー取引をほぼ独占した。18世紀半ば、ペストの流行によって打撃をうけ、またジャワ(オランダ)、ハイチ(フランス)などにコーヒー市場を奪われたため、次第にモカは衰退した。現在はイエメンの主要コーヒー輸出港はアデンとホデイダである。
モカから17世紀後半(ババ・ブダン)と18世紀初め(ブルボン島)にコーヒーが持ち出され、栽培が世界中の熱帯地域に広がっていった。
古くからイエメン産のコーヒーは「モカ」名で取引されたが、現在はエチオピア産のコーヒーも「モカ」の呼称を使用している。かつて日本ではイエメン産のコーヒーは「モカ・マタリ」名で流通することが多かったが、厳密にはバニー・マタル地方産(首都サナア西方の地域。最高の品質とされる)のコーヒー名である。
ヨーロッパ諸国で「モカ」はコーヒーの代名詞となり、フランスではコーヒー風味の菓子・料理にモカの名を加えることが多い(ガトー・モカ、クレーム・ド・モカ)。
直台式(直火式)エスプレッソは「モカmoka」あるいは「モカ・ポットmoka pot」と呼ばれる。
また、シェイク・オマルのコーヒー発見伝説の舞台の一つともなっている。
コーヒー関連の文献では、英語はmocha、moka、フランス語はmokaと表記されることが多い。
参照文献:
- Wikipedia:Mohka(日本語、English, Français)
- ウィリアム・H・ユーカーズ 著『All About Coffee』山内秀文抄訳 角川ソフィア文庫 2017