ババ・ブダン
ババ・ブダンBaba Budan
生没年不詳(伝説上の人物の可能性もある)。インドのイスラム教徒(スーフィー)。1600年頃(1640年、1695年頃の説もある)メッカに巡礼に赴き、イエメンのモカからコーヒーの実をマイソールに持ち帰る。マイソールの北西のチクマガルルChikkamagaruluの丘陵にコーヒーを植え、次第に付近に繁茂したという。
ウィリアム・H・ユーカーズは『オール・アバウト・コーヒー』でマイソールの原生林にコーヒーの木が茂っているのを発見し、「マイソールで現地人が栽培するコーヒーの大部分はババ・ブダンに由来する」と推測している。現在もチクマガルルの丘陵地帯ににババ・ブダンの名にちなんだババブダンジリBababudangiriという地名が残っていて、一帯にはコーヒー農園が広がっている。
モンタニョンMontagnonらは、遺伝子解析から、オランダがジャワに持ち込んだコーヒー(ティピカ)はチクマガルルに由来する可能性が高いとしている。 (山内秀文)
参照文献:
- ウイリアム・H・ユーカーズ著『オール・アバウト・コーヒーAll About Coffee』山内秀文抄訳 角川ソフィア文庫 2017
- wikipedia:Baba Budan, Bababudangri(英語)
- Christophe Montagnon, Faris Sheibani, Benoit Bertorand"The history and genetic divercity of cultivated Coffea arabica" 2024