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特徴は、焙煎ドラムのシリンダー内に配置された一連のスパイラルメタルリムSpiral Metal Rimで、基本的に“アルキメデス・スクリュー”（図３）を活用したした物である。シリンダー内で反対方向に回転する二重の羽により、焙煎ドラム全体に豆を前後に継続的に攪拌し豆に熱を均等に与えると同時に、焙煎豆を1か所から簡単に排出する事が出来る（図２）。 | 特徴は、焙煎ドラムのシリンダー内に配置された一連のスパイラルメタルリムSpiral Metal Rimで、基本的に“アルキメデス・スクリュー”（図３）を活用したした物である。シリンダー内で反対方向に回転する二重の羽により、焙煎ドラム全体に豆を前後に継続的に攪拌し豆に熱を均等に与えると同時に、焙煎豆を1か所から簡単に排出する事が出来る（図２）。 | ||
プル・アウト式焙煎機（例：[[ジェイムズ・カーター]]）の様に焙煎ごとにシリンダーを引出して焙煎をストップし焙煎豆を払い出す必要が無く連続のバッチ焙煎が可能で、品質の安定性や生産効率の大幅アップを達成した。[[ファイル:図３アルキメデススクリュー2.jpg|代替文=図３：”アルキメデス・スクリュー”（スクリューポンプ）管内部に螺旋があり回転する事で連続的に液体などを上方へ移動させる。アルキメデス・スクリュー Wikipediaより。|サムネイル|184x184px|図３：”アルキメデス・スクリュー”（スクリューポンプ）管内部に螺旋があり回転する事で連続的に液体などを上方へ移動させる。アルキメデス・スクリュー Wikipediaより。]][[ファイル:Image309.jpg|代替文=図１：1864年開発したバーンズの焙煎機。 All About Coffee 1922より。|サムネイル|194x194px|図１：1864年開発したバーンズの焙煎機。 All About Coffee 1922より。|左]] | |||
[[ファイル: | [[ファイル:バーンズ構造.jpg|代替文=図２：シリンダー内側に配置された一連のスパイラルメタルリムと自動排出。特許(1864年）|中央|サムネイル|412x412ピクセル|図２：シリンダー内側に配置された一連のスパイラルメタルリムと自動排出。特許(1864年）]] | ||
同年、「ジェイブズ・バーンズ・アンド・サンJabez Burns & Sons」社を設立し、コーヒー焙煎機の製造・販売に着手。バーンズの１号焙煎機はすぐさまアーバックル社をはじめ多数の焙煎業社に採用され、アメリカの焙煎機の主流となった（図６）。このように現在の焙煎機の原型を造り上げて焙煎業の近代化への道筋をつけた。 | 同年、「ジェイブズ・バーンズ・アンド・サンJabez Burns & Sons」社を設立し、コーヒー焙煎機の製造・販売に着手。バーンズの１号焙煎機はすぐさまアーバックル社をはじめ多数の焙煎業社に採用され、アメリカの焙煎機の主流となった（図６）。このように現在の焙煎機の原型を造り上げて焙煎業の近代化への道筋をつけた。 | ||
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[[ファイル:図６焙煎設備.jpg|代替文=図６：1900年頃の16機のバーンズ焙煎機を使用したニューヨークのFischer&Co.の焙煎設備。手前の箱は吸引式冷却機 (Cooking carと呼ばれ移動して使用）。All About Coffee 1922年より。|サムネイル|253x253px|図６：1900年頃の16機のバーンズ焙煎機を使用したニューヨークのFischer&Co.の焙煎設備。手前の箱は吸引式冷却機 (Cooking carと呼ばれ移動して使用）。All About Coffee 1922年より。]] | [[ファイル:図６焙煎設備.jpg|代替文=図６：1900年頃の16機のバーンズ焙煎機を使用したニューヨークのFischer&Co.の焙煎設備。手前の箱は吸引式冷却機 (Cooking carと呼ばれ移動して使用）。All About Coffee 1922年より。|サムネイル|253x253px|図６：1900年頃の16機のバーンズ焙煎機を使用したニューヨークのFischer&Co.の焙煎設備。手前の箱は吸引式冷却機 (Cooking carと呼ばれ移動して使用）。All About Coffee 1922年より。]] | ||
=== '''冷却器、グラインダーの開発''' === | |||
1867年、バーンズは従来のトレイ式に代わり強制吸気式の冷却器を開発。この冷却器によって焙煎豆の冷却効率は飛躍的に改善された（図４）。さらに同年に工業用のグラインダーを開発に着手しバーンズ社は改良を重ね、それまでの粉砕方式コニカル・カッター式に代わる多量の粉砕が可能なフラット・カッター型のグラインダーを開発（図５）。このようにコーヒー焙煎の産業化に必要な一連の焙煎関連機器を開発した。 | 1867年、バーンズは従来のトレイ式に代わり強制吸気式の冷却器を開発。この冷却器によって焙煎豆の冷却効率は飛躍的に改善された（図４）。さらに同年に工業用のグラインダーを開発に着手しバーンズ社は改良を重ね、それまでの粉砕方式コニカル・カッター式に代わる多量の粉砕が可能なフラット・カッター型のグラインダーを開発（図５）。このようにコーヒー焙煎の産業化に必要な一連の焙煎関連機器を開発した。 | ||
=== '''コーヒー業界誌の刊行''' === | |||
バーンズは、情報発信にも熱意をもって取り組み、1878年にコーヒーのほか、紅茶、スパイス等の生産・取引の情報を掲載した業界誌『スパイス・ミルSpice Mill』を発刊した。 | バーンズは、情報発信にも熱意をもって取り組み、1878年にコーヒーのほか、紅茶、スパイス等の生産・取引の情報を掲載した業界誌『スパイス・ミルSpice Mill』を発刊した。 | ||
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[[ファイル:図７1909特許.png|代替文=図７：1909年サンプル焙煎機開発と特許。|サムネイル|246x246ピクセル|図７：1909年サンプル焙煎機開発と特許。]] | [[ファイル:図７1909特許.png|代替文=図７：1909年サンプル焙煎機開発と特許。|サムネイル|246x246ピクセル|図７：1909年サンプル焙煎機開発と特許。]] | ||
=== | === バーンズ社その後 === | ||
初代のジェーブズ・バーンズは1888年に死去。バーンズ社は息子たち（ジェーブズJr、ロバート、リンカーン）に引き継がれて事業を拡大し、1906年に株式会社となり、1908年には当時アメリカ最大のコーヒー機器工場をニューヨークに建設した。 | 初代のジェーブズ・バーンズは1888年に死去。バーンズ社は息子たち（ジェーブズJr、ロバート、リンカーン）に引き継がれて事業を拡大し、1906年に株式会社となり、1908年には当時アメリカ最大のコーヒー機器工場をニューヨークに建設した。 | ||
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* Robert Burns, Coffee Granulating Mill , US patent 1,080,818 (1914) | * Robert Burns, Coffee Granulating Mill , US patent 1,080,818 (1914) | ||
* William H. Ukers : All About Coffee, Tea and Coffee Trade Journal Company ( 1922 ) | * William H. Ukers : All About Coffee, Tea and Coffee Trade Journal Company ( 1922 ) | ||
* Jabez Burns Sample Roaster History 101 | * Jabez Burns Sample Roaster History 101 : https://www.covoyacoffee.com/blog/behind-the-jabez-burns-sample-roaster.html | ||
* History of Commercial Coffee Roaster : https://www.helenacoffee.vn/commercial-coffee-roaster-revolution-history-of-commercial-coffee-roaster/ | |||
* History of Commercial Coffee Roaster | |||
* Michael Sivetz : Coffee Processing Technology , Avi Pub Co. (1963) | * Michael Sivetz : Coffee Processing Technology , Avi Pub Co. (1963) | ||
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2025年10月22日 (水) 22:52時点における最新版
＊コラム：ジェイブズ・バーンズの功績
焙煎機の開発
1864年ドラムを熱源から移動することなく焙煎豆を自動的に排出できる革命的焙煎機を開発。これは現在の焙煎機の原型になった。
レンガの焙煎室の中に設置された閉じたシリンダー構造である（図１）。
特徴は、焙煎ドラムのシリンダー内に配置された一連のスパイラルメタルリムSpiral Metal Rimで、基本的に“アルキメデス・スクリュー”（図３）を活用したした物である。シリンダー内で反対方向に回転する二重の羽により、焙煎ドラム全体に豆を前後に継続的に攪拌し豆に熱を均等に与えると同時に、焙煎豆を1か所から簡単に排出する事が出来る（図２）。
プル・アウト式焙煎機（例：ジェイムズ・カーター）の様に焙煎ごとにシリンダーを引出して焙煎をストップし焙煎豆を払い出す必要が無く連続のバッチ焙煎が可能で、品質の安定性や生産効率の大幅アップを達成した。
同年、「ジェイブズ・バーンズ・アンド・サンJabez Burns & Sons」社を設立し、コーヒー焙煎機の製造・販売に着手。バーンズの１号焙煎機はすぐさまアーバックル社をはじめ多数の焙煎業社に採用され、アメリカの焙煎機の主流となった（図６）。このように現在の焙煎機の原型を造り上げて焙煎業の近代化への道筋をつけた。
冷却器、グラインダーの開発
1867年、バーンズは従来のトレイ式に代わり強制吸気式の冷却器を開発。この冷却器によって焙煎豆の冷却効率は飛躍的に改善された（図４）。さらに同年に工業用のグラインダーを開発に着手しバーンズ社は改良を重ね、それまでの粉砕方式コニカル・カッター式に代わる多量の粉砕が可能なフラット・カッター型のグラインダーを開発（図５）。このようにコーヒー焙煎の産業化に必要な一連の焙煎関連機器を開発した。
コーヒー業界誌の刊行
バーンズは、情報発信にも熱意をもって取り組み、1878年にコーヒーのほか、紅茶、スパイス等の生産・取引の情報を掲載した業界誌『スパイス・ミルSpice Mill』を発刊した。
季刊としてスタートしたが、すぐに月刊化、コーヒーやスパイス業界に良質の情報源として好評を博した。当初、バーンズ自身も寄稿したが、次第に専属の編集スタッフの記事が主体なった。コーヒー研究家・ジャーナリストのウィリアム・ユーカーズはこの雑誌の編集スタッフ、編集長を務めたのちに独立し、自身のコーヒー・紅茶業界誌『ティー・アンド・コーヒー・ジャーナル』を立ち上げた。また1922年には『All About Coffee』を編纂し、現在ではコーヒーの歴史を知る上での重要な書籍の一つとなっている。
バーンズ社その後
初代のジェーブズ・バーンズは1888年に死去。バーンズ社は息子たち（ジェーブズJr、ロバート、リンカーン）に引き継がれて事業を拡大し、1906年に株式会社となり、1908年には当時アメリカ最大のコーヒー機器工場をニューヨークに建設した。
機器の開発も積極的に行われ、1909年サンプル焙煎機を開発。現在でも同型のサンプル焙煎機は世界でも広く活用されている（図７）。1919年にはガス焙煎機の「ジュビリーJubilee」焙煎機そして1934年には熱風式の「サーマルThermal」焙煎機を発売した。1940年には複数のチャンバーに熱風を吹込む流動床方式の連続焙煎機を開発した。一定の品質の大量の焙煎豆を必要とするインスタントコーヒー製造用に活用したと思われる。1997年にドイツのプロバット社に買収され、現在その傘下に入っているがバーンズのブランドで製造販売している。
（高橋孝夫）
参考文献
- Jabez Burns , Burns Coffee Roaster USAパテント44704 (1864)
- Robert Burns, ROASTER FOR COFFEE AND OTHER REATERIAI,US patent 932,957. in 1909 （サンプルロースター）
- Jabez Burns＆Sons社、Jubileeロースター、US patent1,128,101 (1915)
- Jabez Burns＆Sons社、Jubileeロースター、 US patent1,532,574 (1922)
- Jabez Burns , Cooler for Coffee USAパテント61,393 (1867)
- Jabez Burns , Original Mill, USAパテント349,628A (1886)
- Robert Burns, Coffee Granulating Mill , US patent 1,080,818 (1914)
- William H. Ukers : All About Coffee, Tea and Coffee Trade Journal Company ( 1922 )
- Jabez Burns Sample Roaster History 101 : https://www.covoyacoffee.com/blog/behind-the-jabez-burns-sample-roaster.html
- History of Commercial Coffee Roaster : https://www.helenacoffee.vn/commercial-coffee-roaster-revolution-history-of-commercial-coffee-roaster/
- Michael Sivetz : Coffee Processing Technology , Avi Pub Co. (1963)
- Wikipediaアルキメディアン・スクリュー
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