コンテンツにスキップ

「シリンダー型焙煎機」の版間の差分

提供:コーヒー歴史年表
文章
全体
1行目: 1行目:
=== '''シリンダー型焙煎機''' ===
=== '''シリンダー型焙煎機''' ===
[[ファイル:シリンダー.jpg|代替文=S.デュフール『コーヒー、茶、チョコレートの飲用に関する新たな興味をそそる論説』(1685年、リヨン刊)掲載の挿絵。|サムネイル|249x249ピクセル|S.デュフール『コーヒー、茶、チョコレートの飲用に関する新たな興味をそそる論説』(1685年、リヨン刊)掲載の挿絵。]]
円筒(ドラム、シリンダー)状で中心軸に沿って水平に回転でき焙煎機。これは現在のドラム式焙煎機の原型である。1650年頃にアラビア地域でシリンダー型の焙煎機が登場。1660年頃、イギリスでエルフォードが白鉄製(鉄板にスズメッキ)のシリンダー焙煎機が開発しされた。これはシリンダー型焙煎器を大型化したもので、家庭用さらには商業用として作られた。シリンダー型以前の開放系や蓋つきの鍋に比べてシリンダー型焙煎機は操作がし易く一歩進歩した焙煎機と言える。  (高橋孝夫) 
円筒(ドラム、シリンダー)状で中心軸に沿って水平に回転でき焙煎機。これは現在のドラム式焙煎機の原型である。1650年頃にアラビア地域でシリンダー型の焙煎機が登場。1660年頃、イギリスでエルフォードが白鉄製(鉄板にスズメッキ)のシリンダー焙煎機が開発しされた。これはシリンダー型焙煎器を大型化したもので、家庭用さらには商業用として作られた。シリンダー型以前の開放系や蓋つきの鍋に比べてシリンダー型焙煎機は操作がし易く一歩進歩した焙煎機と言える。  (高橋孝夫) 


==== '''参考文献''' ====


* 山内秀文訳解説「All About Coffee コーヒーのすべて」角川ソフィア文庫 、2017年
* Syrvestre Dufour ''"Les traités nouveaux et currieux du café, du thé et du chocolate"'' 1685, Lyon<br />


 
[[コーヒー歴史年表]]に戻る





2025年3月2日 (日) 10:36時点における版

シリンダー型焙煎機

S.デュフール『コーヒー、茶、チョコレートの飲用に関する新たな興味をそそる論説』(1685年、リヨン刊)掲載の挿絵。
S.デュフール『コーヒー、茶、チョコレートの飲用に関する新たな興味をそそる論説』(1685年、リヨン刊)掲載の挿絵。

円筒(ドラム、シリンダー)状で中心軸に沿って水平に回転でき焙煎機。これは現在のドラム式焙煎機の原型である。1650年頃にアラビア地域でシリンダー型の焙煎機が登場。1660年頃、イギリスでエルフォードが白鉄製(鉄板にスズメッキ)のシリンダー焙煎機が開発しされた。これはシリンダー型焙煎器を大型化したもので、家庭用さらには商業用として作られた。シリンダー型以前の開放系や蓋つきの鍋に比べてシリンダー型焙煎機は操作がし易く一歩進歩した焙煎機と言える。  (高橋孝夫) 

参考文献

  • 山内秀文訳解説「All About Coffee コーヒーのすべて」角川ソフィア文庫 、2017年
  • Syrvestre Dufour "Les traités nouveaux et currieux du café, du thé et du chocolate" 1685, Lyon

コーヒー歴史年表に戻る



1650年頃には、トルコのオリジナルの携帯用トルココーヒーミルから発案された金属製の「シリンダー型のコーヒー焙煎器具」が出現した。通常、スズめっき鉄板または銅めっき鉄板で作られていた円筒形(シリンダー)の容器で、その中にコーヒー生豆を入れて熾火(おきび)の上で回転させながら焙煎した。


 1660年頃には、イギリスでエルフォードの白鉄製器具(鉄板にスズメッキが施されたもの)が登場した。これはシリンダー型焙煎器の大型化したもので、家庭用または商業用に設計された。フランスとオランダでもこれを改良したものが登場した。17世紀には、イタリアでは鍛造鉄の美しいデザインのコーヒー焙煎器がいくつか生産された。

従来の鍋(パン)型焙煎機器から見ると現在の工業用シリンダー型、ドラム焙煎機に繋がる大きな一歩であると思われる。

初期のシリンダー型焙煎機

1650代 最初のシリンダー焙煎機(大きさは不明)


[コラム] 17〜18世紀のコーヒー焙煎機:

 1700年から1800年の間には、コークスや木炭を燃やす小型の携帯用ストーブとコーヒー焙煎用の水平回転シリンダーが備わっている焙煎機が開発された。これらには回転させるための鉄製ハンドルが付属していた。このタイプの焙煎機器は三辺がフードで覆われ三本の足で立っているもので、暖炉のそばや燻炭の灰の上に置くことができた。

多くのコーヒー豆を焙煎するために、宿やコーヒーハウスで使用された可能性がある。

初期のアメリカ型焙煎機

< 写真: 初期のアメリカのコーヒー焙煎機 >

水平回転シリンダーや足の付いたパン。

17世紀ヨーロッパの焙煎機

(仮:Coffee roasters in Europe in the 17th century )

https://www.pinterest.jp/pin/60657926204922900/


 また、18世紀末に登場したもう一つのタイプは、鉄製の箱型のストーブの上部に吊るされる鉄板製の焙煎機である。このストーブ内で火を灯して使用されました。これも比較的大量のコーヒー豆を焙煎するために設計された。一部の例では脚が付いていることもある。


< 写真:18世紀 三面フード付きの焙煎機 >

鋳鉄のスパイダーの後継機種でクレーンから吊り下げられるか、

三面フード付き焙煎機(18世紀)

炉床に立てかけられた。

    

18世紀のロースター (手回しハンドル付き)

手回しハンドル付き(18世紀)

エセックス協会、セイラム、マサチューセッツ州

   

 17-18世紀の焙煎機は鉄板で出来た小型の容器(グラム単位レベル)に豆を入れてストーブの火の上で回しながら焙煎するもので、焙煎機と言うよりは、焙煎器具と言った方が良いと思われる。


参考:

・山内秀文訳解説「All About Coffee コーヒーのすべて」角川ソフィア文庫 (2017)、p335-338

・William H. Ukers, M.A.: All About Coffee, The Tea and Coffee Trade Journal  (1922)

, p616-621 ( THE EVOLUTION OF COFFEE APPARATUS)

・UCCコーヒー博物館、「図説 コーヒー」河出書房新社 (2016),p62 - 63