シリンダー型焙煎機
シリンダー型焙煎機
円筒(ドラム、シリンダー)状で中心軸に沿って水平に回転でき焙煎機。これは現在のドラム式焙煎機の原型である。1650年頃にアラビア地域でシリンダー型の焙煎機が登場。1660年頃、イギリスでエルフォードが白鉄製(鉄板にスズメッキ)のシリンダー焙煎機が開発しされた。これはシリンダー型焙煎器を大型化したもので、家庭用さらには商業用として作られた。シリンダー型以前の開放系や蓋つきの鍋に比べてシリンダー型焙煎機は操作がし易く一歩進歩した焙煎機と言える。 (高橋孝夫)
1650年頃には、トルコのオリジナルの携帯用トルココーヒーミルから発案された金属製の「シリンダー型のコーヒー焙煎器具」が出現した。通常、スズめっき鉄板または銅めっき鉄板で作られていた円筒形(シリンダー)の容器で、その中にコーヒー生豆を入れて熾火(おきび)の上で回転させながら焙煎した。
1660年頃には、イギリスでエルフォードの白鉄製器具(鉄板にスズメッキが施されたもの)が登場した。これはシリンダー型焙煎器の大型化したもので、家庭用または商業用に設計された。フランスとオランダでもこれを改良したものが登場した。17世紀には、イタリアでは鍛造鉄の美しいデザインのコーヒー焙煎器がいくつか生産された。
従来の鍋(パン)型焙煎機器から見ると現在の工業用シリンダー型、ドラム焙煎機に繋がる大きな一歩であると思われる。

1650代 最初のシリンダー焙煎機(大きさは不明)
[コラム] 17〜18世紀のコーヒー焙煎機:
1700年から1800年の間には、コークスや木炭を燃やす小型の携帯用ストーブとコーヒー焙煎用の水平回転シリンダーが備わっている焙煎機が開発された。これらには回転させるための鉄製ハンドルが付属していた。このタイプの焙煎機器は三辺がフードで覆われ三本の足で立っているもので、暖炉のそばや燻炭の灰の上に置くことができた。
多くのコーヒー豆を焙煎するために、宿やコーヒーハウスで使用された可能性がある。

< 写真: 初期のアメリカのコーヒー焙煎機 >
水平回転シリンダーや足の付いたパン。

(仮:Coffee roasters in Europe in the 17th century )
https://www.pinterest.jp/pin/60657926204922900/
また、18世紀末に登場したもう一つのタイプは、鉄製の箱型のストーブの上部に吊るされる鉄板製の焙煎機である。このストーブ内で火を灯して使用されました。これも比較的大量のコーヒー豆を焙煎するために設計された。一部の例では脚が付いていることもある。
< 写真:18世紀 三面フード付きの焙煎機 >
鋳鉄のスパイダーの後継機種でクレーンから吊り下げられるか、

炉床に立てかけられた。
18世紀のロースター (手回しハンドル付き)

エセックス協会、セイラム、マサチューセッツ州
17-18世紀の焙煎機は鉄板で出来た小型の容器(グラム単位レベル)に豆を入れてストーブの火の上で回しながら焙煎するもので、焙煎機と言うよりは、焙煎器具と言った方が良いと思われる。
参考:
・山内秀文訳解説「All About Coffee コーヒーのすべて」角川ソフィア文庫 (2017)、p335-338
・William H. Ukers, M.A.: All About Coffee, The Tea and Coffee Trade Journal (1922)
, p616-621 ( THE EVOLUTION OF COFFEE APPARATUS)
・UCCコーヒー博物館、「図説 コーヒー」河出書房新社 (2016),p62 - 63