マーチャンツ・コーヒーハウス
「マーチャンツ・コーヒーハウス」: Merchants Coffee House
1737年〜1804年 船乗りのダニエル・ブルーム Daniel Bloomが居酒屋を買い取り、改名してコーヒーハウスとして開業。場所はウォール街 Wall Streetとウォーター通り Water Street の角で、現在のザ・ウォールストリート・ホテルのあたり。屋根にバルコニーのある二階建ての建物で、一階にはコーヒーカウンターと仕切り席、二階には集会ができる大部屋があった。

商取引や数々の集会がコーヒーハウスの中で行われていて、ウォール街端の商品取引所近くにあった「エクスチェンジ・コーヒーハウス Exchange Coffee House」と営業を競い合っていた。経営者が何回か交代した後の1772年に、通りを隔てたところに移転した。商業の中心的役割を果たしたコーヒーハウスとして、多くの歴史的な出来事に「マーチャンツ」の名は登場するが、イギリス軍の占領時代には苦渋の時期があった。
1776年植民地軍がニューヨークを掌握すると軍の将官たちのたまり場となった。さらに市民の集会所としての役割の他、商業団体の会合や商工会議所など各種団体の集会が定期的に開かれ、「マーチャンツ」の名は一世を風靡した。1784年のニューヨーク銀行創設の集まりや、1790年の初の一般的株式売買もここで行われた。
「マーチャンツ・コーヒーハウス」の最高潮は1789年4月23日である。選出されたばかりの初代大統領ジョージ・ワシントン George Washington の歓迎式典をここで開いた。大統領就任一週間前に、ニューヨーク州知事やニューヨーク市長をはじめ多くの役人が出迎えた。
「マーチャンツ」はその後も市民の貴重な会合の場所であったが、1804年火災により焼失してしまった。 (小村嘉人)
参照文献:
・William H Ukers 『ALL ABOUT COFFEE Second Edition』 1935年
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