*コラム:コーヒー・グラインダー(ミル)の変遷。
*コーヒー・グラインダー(ミル)の変遷
コーヒー・グラインダーの分類
コーヒー豆粉砕用のグラインダーは、構造上大きく分類して4つのタイプがある。①コニカル・カッター、②フラット・カッター、③ロール・グラインダー、④ブレード・グラインダーである。
①コニカル・カッター:臼型ミルとも呼ばれる。円錐形の刃と、それに沿う形状の固定された刃があり、2つの刃の間をコーヒー豆が通ることで粉砕した。エスプレッソ用の電動ミルや家庭用手動ミルに多い。
②フラット・カッター:フラット・ディスク式とも呼ばれ、向かい合った2つの円盤状の歯が回転することで、コーヒー豆を粉砕する。
③ロール・グラインダー:刃のついた2本のロールの間を通過させてコーヒー豆を粉砕し、さらに刃を細かくした2本のロールでコーヒー粉をより細かく砕く。この操作を繰り返し段階的に粉砕。粒度の均一性が高く、粉砕速度も速い。トン(t)レベルの粉砕に使用。主に工業用。
④ブレード・グラインダー:回転する羽状の薄刃でカット(図省略)。小型で操作が簡便だが、粒度が不均一で微粉が出やすい。1955年頃からフィリップス社、ヴィゴマット社が採用。主に家庭用として普及。



コーヒー・グラインダーの変遷
コニカル・カッター型が最も古く、16世紀のターキッシュ・ミルをはじめ19世紀前半までに製作されたミルはほぼこのタイプ。1840年、フランスのプジョーがこのタイプのミルの製造を開始しフランスの家庭に広く普及した。1870年アメリカで開発された「チャンピオン#1」やジョン・ベーカーの制作した「エンタープライズ・ミル」は業務用ミルとして有名である。
フラット・カッターは、1872, 1874年にジェイブズ・バーンズが開発した工業用ミルに導入されている。業務用の多量の粉砕が可能。19世紀頭末に開発された電動ミルの多くは、このフラット・カッター型。
ロール・グラインダーは諸説あるが、1918年にシカゴのジュール・ルペイジJules LePageが発明したとされている。現在の大量粉砕用グラインダーの主力となっている。 (高橋孝夫)
参照文献
- Andrea Illy and Rinantonio Viani : Espresso Coffee, The Chemistry of Quality, Academic Press Inc. San Diego, CA (1995), p218 – 221
- 全日本コーヒー商工組合連合会「コーヒー検定教本」(2012), p78 - 79
- インスタントコーヒー:Wikipedia
- R.J.Clark and R. R.J.Clark and R.Macrae : COFFEE Volume2 Technology, ELSEVIER APPLIED SCIENCE LONDON and NEW YORK (1987), p104 - 107
- 特許:Jules LePage , CUTTING-ROLLS, USA-patent 1,183,574 (1916)
- Melitta Japanのホームページ
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