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*コラム:17~18世紀のコーヒー焙煎機。

提供:コーヒー歴史年表

*17〜18世紀のコーヒー焙煎機

 コーヒーの焙煎の初期には一般的な開放系の鍋(パン)が使用されたと思われる。またコーヒー焙煎専用のスプーン状の小さな焙煎器やバクダットローストパンと言われる長い取っ手(約90cm)と豆をかき回す金属棒(約20 cm)付きの物も使われた(図1,2及び3)。

図1:最初期の焙煎器スプーン状。 All About Coffee 1922年より。
図1:最初期の焙煎器スプーン状。 All About Coffee 1922年より。
図3:初期の開放系の鍋(パン)。 All About Coffee 1922年より。
図3:初期の開放系の鍋(パン)。 All About Coffee 1922年より。
図2:バクダットローストパンと攪拌用スプーン。 All About Coffee 1922年より。
図2:バクダットローストパンと攪拌用スプーン。 All About Coffee 1922年より。



17世紀年から18世紀の間には、商業用として開放系の鍋(パン)から操作や形状が工夫されたコーヒー焙煎器が現れる。攪拌用のハンドル付きの鍋やシリンダー型の密閉系で、シリンダーに豆を出し入れするためのスライド式ドアが付き、火床の上で回転をさせるハンドル付きの焙煎器も出現した(図4,5及び6)。

図7:1774年ウイーンのコーヒーハウス。屋外でシリンダー焙煎機を操作。銅版画。MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図7:1774年ウイーンのコーヒーハウス。屋外でシリンダー焙煎機を操作。銅版画。MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図4:約1810年ハンドル付きの鍋(パン)。 MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図4:約1810年ハンドル付きの鍋(パン)。 MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図6:約1750年シリンダー焙煎機。容量750g。回転用ハンドル付き。MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図6:約1750年シリンダー焙煎機。容量750g。回転用ハンドル付き。MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。


コーヒー豆を多量に焙煎するために、インやコーヒーハウスで使用された可能性がある(図7)。また、18世紀末には火床の上に吊るして、ストーブと一体化した鉄板製の焙煎器が登場した。これは比較的大量のコーヒー豆を焙煎した(図8,9)。図10はビーダーマイヤー時代のキッチン風景、コーヒーを焙煎、冷却し粉砕している。 (高橋孝夫)

図10:ビーダーマイヤー時代のキッチン。火床の上んで焙煎(中央)、陶器の容器で冷却(左)、粉砕(右)。エッチング、1840年頃。MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図10:ビーダーマイヤー時代のキッチン。火床の上んで焙煎(中央)、陶器の容器で冷却(左)、粉砕(右)。エッチング、1840年頃。MUSEUM für KAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)より。
図8:18世紀 三面フード付きの焙煎器。炉の上に吊り下げられるか、火床に立て掛けられた。 All About Coffee 1922年より。
図8:18世紀 三面フード付きの焙煎器。炉の上に吊り下げられるか、火床に立て掛けられた。 All About Coffee 1922年より。
図9:18世紀の焙煎器、ストーブ付、手回しハンドル。エセックス商会。セイラム、マサチューセッツ州。All About Coffee 1922年より。
図9:18世紀の焙煎器、ストーブ付、手回しハンドル。エセックス商会。セイラム、マサチューセッツ州。All About Coffee 1922年より。

参考文献

  • 山内秀文訳解説「All About Coffee コーヒーのすべて」角川ソフィア文庫 (2017)
  • William H. Ukers, ”All About Coffee” 1922 New York
  • UCCコーヒー博物館、「図説コーヒー」河出書房新社 (2016)
  • MUSEUM für FAFFEE TECHNIK(プロバット社1933)


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