イブン・スィーナー(アヴィセンナ)
イブン・スィーナーibn Sina(アヴィセンナAvicenna)
生没年980年頃〜1037年。哲学者、科学者、医学者、詩人として偉大な足跡を残した万能の人。様々な分野で膨大な著作を著し、その書物はイスラム世界だけでなく、ヨーロッパにも大きな影響を及ぼした。また政治家としてもブワイフ朝(10〜11世紀にイラン・イラクを支配したイスラム王朝)の宰相を勤めている。
医学者としては、ガレノス以来の古代ギリシャの医学を集大成し、発展させ、中世医学の基盤を築いた。その代表的著作『医学典範』は17世紀に至るまで多くのヨーロッパの大学で教科書として使われていた。
ラーゼスとともにアヴィセンナがコーヒー(ブンクムbunchum)を薬として用いたとの記述がレオンハルト・ラウヴォルフの『東方諸国への旅(オリエント実体験旅行)』をはじめ、多くのコーヒー関連書籍で取り上げられている。しかし、その後400年以上イスラム世界でコーヒーについての記述はなく、「アヴィセンナの医書ではブンクムbunchumは植物の根に分類されている」との指摘もあり、ブンクムがコーヒーである可能性は低い。
→コラム:コーヒーを薬として使用か?を参照。
参照文献:
・Wikipedia : イブン・スィーナibn Sina(日本語、英語、フランス語)