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「*コラム:いつコーヒーの栽培が始まったのか?」の版間の差分

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換金作物としてコーヒーの栽培が始まった時期を特定するのは難しい。コーヒーノキ([[アラビカ種]])が[[エチオピア高原]]から[[イエメン]]に持ち込まれたのは明らかだが、コーヒー飲用の始まりを記した[[アブダル・カディールの書]]は、コーヒーの栽培ついては触れていない。
いつコーヒーの栽培の始まったかはいまだ特定されていないが、イスラム世界でコーヒーの飲用が始まった15世紀半ば、イエメンのモカの東、南北に連なる山岳地域で始まった可能性が高い。
 
換金作物としてコーヒーの栽培が始まりを記した文献資料は残っていない。そのため時期を特定するのは難しい。コーヒーノキ([[アラビカ種]])が[[エチオピア高原]]から[[イエメン]]に持ち込まれたのは明らかだが、コーヒー飲用の始まりを記した[[アブダル・カディールの書]]は、コーヒーの栽培ついては触れていない。


しかし、アブダル・カディールの書には、[[シェイク・ジェマレディン]]が15世紀半ばに[[アデン]]にコーヒーを伝えた経緯を記したのち、「まずカートがアデンに広まり、・・・たまたまカートが不足していた時期に、ジェマレディンは彼の元に集まり弟子となった者たちに、同様に眠気を払う効果があるブン(コーヒーの実)から作った飲み物(コーヒー)を試してみるように勧め、この時からコーヒーが広まり続けた。」との記述がある。
しかし、アブダル・カディールの書には、[[シェイク・ジェマレディン]]が15世紀半ばに[[アデン]]にコーヒーを伝えた経緯を記したのち、「まずカートがアデンに広まり、・・・たまたまカートが不足していた時期に、ジェマレディンは彼の元に集まり弟子となった者たちに、同様に眠気を払う効果があるブン(コーヒーの実)から作った飲み物(コーヒー)を試してみるように勧め、この時からコーヒーが広まり続けた。」との記述がある。


カートはおそらくコーヒーに先行してイエメンで栽培されていた。なおカートにはコーヒーと同じように覚醒作用があり、生育条件はコーヒーとほぼ同じである。
カートはおそらくコーヒーに先行してイエメンで栽培されていた。上の記述からカートの代替としてコーヒーの飲用が始まったと解することができる。なおカートにはコーヒーと同じように覚醒作用があり、生育条件はコーヒーとほぼ同じである。


コーヒー飲用の慣習が15世紀半ばからイエメン南部に広まったことから、次のような可能性が高い。
コーヒー飲用の慣習が15世紀半ばからイエメン南部に広まったことから、次のような可能性が高い。


 ・コーヒー導入当初はエチオピアからコーヒーの実(半ば自生か)を移送。
*  コーヒー導入当初はエチオピアからコーヒーの実(自生か?)を移送。
 
*  拡大する需要に対応してイエメン南部の山岳地域(アデンの北、モカの東)でコーヒーの商業的栽培を始める。
 ・拡大する需要に対応してイエメン南部の山岳地域(アデンの北)でコーヒーの商業的栽培を始める。
*  次第にイエメンの山岳地帯全域にコーヒー栽培が拡大。この間にカートの栽培をコーヒーに切り替えていった。
 
 ・次第にイエメンの山岳地帯全域にコーヒー栽培が拡大。この間にカートの栽培をコーヒーに切り替えていった。


こうしてイエメンでのコーヒー栽培が広がっていったと推察される。
こうしてイエメンでのコーヒー栽培が広がっていったと推察される。  (山内秀文)


 '''参照文献'''
 '''参照文献'''


・Silvestre de Sacy"Chrestomathie arabe" より、Abd-alkader"les Preuves les plus fortes en faveur de la légitimité de l'usage du Café"  1806  Paris  (シルヴェストル・ド・サシー『アラブ文選』よりアブダル・カディール『コーヒーの飲用の合法性についての最も強力な証左』)
* Silvestre de Sacy"Chrestomathie arabe" より、Abd-alkader"les Preuves les plus fortes en faveur de la légitimité de l'usage du Café"  1806  Paris  (シルヴェストル・ド・サシー『アラブ文選』よりアブダル・カディール『コーヒーの飲用の合法性についての最も強力な証左』
 
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2025年10月27日 (月) 18:38時点における最新版

いつコーヒーの栽培の始まったかはいまだ特定されていないが、イスラム世界でコーヒーの飲用が始まった15世紀半ば、イエメンのモカの東、南北に連なる山岳地域で始まった可能性が高い。

換金作物としてコーヒーの栽培が始まりを記した文献資料は残っていない。そのため時期を特定するのは難しい。コーヒーノキ(アラビカ種)がエチオピア高原からイエメンに持ち込まれたのは明らかだが、コーヒー飲用の始まりを記したアブダル・カディールの書は、コーヒーの栽培ついては触れていない。

しかし、アブダル・カディールの書には、シェイク・ジェマレディンが15世紀半ばにアデンにコーヒーを伝えた経緯を記したのち、「まずカートがアデンに広まり、・・・たまたまカートが不足していた時期に、ジェマレディンは彼の元に集まり弟子となった者たちに、同様に眠気を払う効果があるブン(コーヒーの実)から作った飲み物(コーヒー)を試してみるように勧め、この時からコーヒーが広まり続けた。」との記述がある。

カートはおそらくコーヒーに先行してイエメンで栽培されていた。上の記述からカートの代替としてコーヒーの飲用が始まったと解することができる。なおカートにはコーヒーと同じように覚醒作用があり、生育条件はコーヒーとほぼ同じである。

コーヒー飲用の慣習が15世紀半ばからイエメン南部に広まったことから、次のような可能性が高い。

  •  コーヒー導入当初はエチオピアからコーヒーの実(自生か?)を移送。
  •  拡大する需要に対応してイエメン南部の山岳地域(アデンの北、モカの東)でコーヒーの商業的栽培を始める。
  •  次第にイエメンの山岳地帯全域にコーヒー栽培が拡大。この間にカートの栽培をコーヒーに切り替えていった。

こうしてイエメンでのコーヒー栽培が広がっていったと推察される。  (山内秀文)

 参照文献

  • Silvestre de Sacy"Chrestomathie arabe" より、Abd-alkader"les Preuves les plus fortes en faveur de la légitimité de l'usage du Café" 1806 Paris (シルヴェストル・ド・サシー『アラブ文選』よりアブダル・カディール『コーヒーの飲用の合法性についての最も強力な証左』

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