「アラビカ種」の版間の差分
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アカネ科[[コフィア属]]の種(シュ)。原生息地はエチオピア高原。 | |||
15世紀半ばに[[イエメン]]のアデンでコーヒーを飲み始めたのが、現在のコーヒー飲用のルーツだが、そのコーヒーはアラビカ種である。以来、19世紀の終わりにさび病対策でリベリカ種が導入されるまでの約450年間、商業的に栽培されていたのはアラビカ種のみで、そのため現在でもアラビカ種がコーヒーの香味評価(おいしさ)の基準となっている。 | |||
[[カネフォラ種]]、[[リベリカ種]]とともに、商業的に栽培されるいわゆる三原種のひとつ。アラビカ種はコーヒーが歴史の舞台に登場して以来、コーヒー生産の主体だったが、現在は総生産量の60%弱で、近年はカネフォラ種(ロブスタ)に押され気味である。 | |||
アラビカ種の栽培に適する気候条件は、年較差が少なく年平均気温20℃前後、年間降雨量約1000〜2000mm。熱帯の高地が栽培適地で、気温の日較差は大きい方が良質のコーヒーとなるが、降霜にあうと枯死してしまう。 | |||
土壌は有機物に富み(肥沃な)、湿り気のある水はけのよい火山灰土質が好適とされる。 | |||
カネフォラ種に比べて病害虫に弱く、とくにさび病はアラビカ種に壊滅的な被害を与え、[[セイロン(スリランカ)]]やジャワではアラビカ種の生産を断念した。 | カネフォラ種に比べて病害虫に弱く、とくにさび病はアラビカ種に壊滅的な被害を与え、[[セイロン(スリランカ)]]やジャワではアラビカ種の生産を断念した。 | ||
栽培地域(コーヒーベルトという)は世界中の熱帯高地に広がっている。生産国は以下の通り。 | |||
* 南米:ブラジル(世界最大の生産国)、コロンビア(世界第2のアラビカ生産国)、ペルー、ベネズエラ、エクアドル、スリナム、ボリビアなど。 | * 南米:ブラジル(世界最大の生産国)、コロンビア(世界第2のアラビカ生産国)、ペルー、ベネズエラ、エクアドル、スリナム、ボリビアなど。 |
2024年12月19日 (木) 22:34時点における最新版
アラビカ種 Coffea arabica:
アカネ科コフィア属の種(シュ)。原生息地はエチオピア高原。
15世紀半ばにイエメンのアデンでコーヒーを飲み始めたのが、現在のコーヒー飲用のルーツだが、そのコーヒーはアラビカ種である。以来、19世紀の終わりにさび病対策でリベリカ種が導入されるまでの約450年間、商業的に栽培されていたのはアラビカ種のみで、そのため現在でもアラビカ種がコーヒーの香味評価(おいしさ)の基準となっている。
カネフォラ種、リベリカ種とともに、商業的に栽培されるいわゆる三原種のひとつ。アラビカ種はコーヒーが歴史の舞台に登場して以来、コーヒー生産の主体だったが、現在は総生産量の60%弱で、近年はカネフォラ種(ロブスタ)に押され気味である。
アラビカ種の栽培に適する気候条件は、年較差が少なく年平均気温20℃前後、年間降雨量約1000〜2000mm。熱帯の高地が栽培適地で、気温の日較差は大きい方が良質のコーヒーとなるが、降霜にあうと枯死してしまう。
土壌は有機物に富み(肥沃な)、湿り気のある水はけのよい火山灰土質が好適とされる。 カネフォラ種に比べて病害虫に弱く、とくにさび病はアラビカ種に壊滅的な被害を与え、セイロン(スリランカ)やジャワではアラビカ種の生産を断念した。
栽培地域(コーヒーベルトという)は世界中の熱帯高地に広がっている。生産国は以下の通り。
- 南米:ブラジル(世界最大の生産国)、コロンビア(世界第2のアラビカ生産国)、ペルー、ベネズエラ、エクアドル、スリナム、ボリビアなど。
- 北・中米:メキシコ、グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、パナマなど。
- カリブ海諸国:ジャマイカ、ドミニカ、ハイチ、キューバ、プエルトリコなど。
- アフリカ:エチオピア、ケニア、タンザニア、ルアンダ、ブルンジ、ウガンダ、マラウィ、コンゴ民主共和国、カメルーンなど。
- アジア:インドネシア、イエメン、パプア・ニューギニア、タイ、ラオス、ミャンマーなど。
- その他:ハワイ、ニューカレドニアなど。
→コラム:アラビカ種の誕生と広がりを参照。
(大西文明)
参照文献:
- 旦部幸博著『コーヒーの科学』2016, 講談社ブルーバックス
- 田口護著『田口護の珈琲大全』2003, NHK出版
- Gordon Wrigley "Coffee" 1988, New York